「31」
今日、ロッカーで、右手人差し指にギブス巻いたヨシ(吉村)が泣いてた。昨日のゲームでデッドボールを当てられてね。たいしたことないと思ってたんだけど。まさか骨折とは。そのヨシの姿見たら言葉失っちゃってね。そりゃあ、悔しかったろうもん。ヨシにとっちゃ十分に胸の張れる働きしてたし、それこそチャンスだったもんな。この世界に入って初めて充実してたんじゃないかな。そんなヨシに「大丈夫か?焦らずゆっくり治せ。先は長いぞ」なんて言葉はかけられないよな。大丈夫なわけがない。焦らないわけがないんでね。他の選手からしたらこんなチャンスはない。ファームの選手なんか、こういうチャンスを手ぐすね引いて待ってる。今がなければこの先なんてないんでね。シビアな言い方かも知れないけど、そういう世界なんだよね。そういうことがわかっていてのヨシの涙だと思う。
でも大事よ、そういう気持ちは。それがなかったらこの世界ではやっていけない。「ゆっくり休め」なんて言えるのは、ほんとうのレギュラーだけ。僕もゲームに出はじめた頃は、休むのがイヤでね。休んでいたら誰かにポジション獲られるんじゃないかって、ずっと思ってた。だからちょっとしたケガとか、痛いっていうくらいだったら、休めって言われても出てたね。今でもそういう気持ちはどこかにあると思う。怖いんだろうね、休むのが。今を休んだら明日がないような気がしてね。あえてヨシに言うとしたら「ゆっくり急げ」っていうことかな。今日ゲーム前に手袋とリストバンド盗んどいたから、明日からの仙台に持って行ってやるよ。だから体はファームでも気持ちはこっちに置いとけよ。あんまりヨシヨシ言っててもな。他の若い選手も負けないように頑張ろうぜ。そうすればもっともっと活気が出てくるし、もっともっと強くなるぞ。オレもまだまだ負けないように頑張るけど。
さあ、昨日言ってたように3タテしたぞい。このまま行くぜい、仙台へ。
